【干物語】第2回 甘鯛の干物ってどうなの?高級干物の世界

こんにちは。
今回は高級干物界の重鎮「アマダイ」についてです。

ここで言う高級干物とは、値段が高い干物のことを指しています。

高級干物の例としては、縁起がいいとされお祝い事でも活躍するマダイ、煮付けは絶品と名高いキンメダイ、北陸ではノドグロと言われ人気のアカムツなんかの干物は高価ながらも味が良いとされ、人気があります。

その界隈の一角を担っているのがアマダイの干物です。
京都では「グジ」と呼ばれ、味よし見た目よしのこの魚の存在感は大きく、値段もかなり高くつきます。

ところで、このアマダイ。
鯛の仲間ではないんです。

本当にマダイの仲間なのは有名どころではクロダイ(チヌ)やチダイ(ハナダイ)なんかがいますが、アマダイなんかは系統的にはマダイとは異なります。
こんな魚を、鯛の名前だけ借りているので「あやかり鯛」といいます。
この場合、アマダイはマダイより高い値段がつくことも多く、あやかっているというより寧ろ、マダイよりでしゃばっているような気もしますが…。

それでは本格的にアマダイのお話をします。

甘鯛はスズキ目キツネアマダイ科アマダイ属の総称で、日本で漁獲されるのは3種類がメインです。

余談ですが、海外ではキツネアマダイ科の総称をTilefishといい、日本のアマダイとは比べ物にならないくらい大きさになる種もいて、釣り魚として人気があります。
ただその種は日本のアマダイのようにピンク色をしていないですし、生物濃縮由来の毒性を示すこともあるらしく、日本のアマダイの認識とは大きく異なっているようです。

話がそれましたが、日本のアマダイは3種類といいましたね。

それが、「アカアマダイ」「シロアマダイ」「キアマダイ」です。

この中で一番高い値段がつく傾向にあるのは、「シロアマダイ」で、最も味が美味しいとされています。
ですが僕は、目を閉じて食べ比べしろと言われたら、アカアマダイとシロアマダイの味の区別は付かないと思います…。(キアマダイは食べたことがありません。いつか食べてみたいです。)

3種類いるとはいったものの、漁獲されているほとんどが「アカアマダイ」が占めている気がします。
スーパーで見かけたことがあるのは僕自身アカアマダイしか見たことがありません。
干物として売られているのも殆どアカアマダイです。

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ここで衝撃的なことを言いますが、

僕はアマダイの一番美味しい食べ方は干物じゃない気がします。

僕がオススメするのは、「松笠焼き」と言われる調理法です。
日本料理に詳しい方ならご存知ではないでしょうか。

これはアマダイを鱗がついた状態で切り身にして、その鱗に向かって高温の脂をかけ流す。
すると鱗が逆立ちまるで松ぼっくりのようになる。これが松笠の名前の由来です。
サクサクに鱗が逆立ったそれをグリルに移し、全体に火が通るまで焼入れたら完成です。

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塩をパラッとふって、すだちをひと絞りしたらもう最高です。
アマダイ独特の芳ばしい香りに加え、鱗のサクサク感、そして上品な甘味をもったその身を全て同時に口の中で感じることができます。

それでは本題のアマダイの干物のレビューに入りましょう。

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先ほど書いた通り、まず香りが良いです。
芳ばしく、甘い匂い。
それもまたアマダイ特有のもので、あまり他の魚で似た香りのものは思いつきません。

そして身。鮮度が良いものであれば脂がノッている個体でなくてもしっとり、かつしっかり。
高級干物であるのも納得です。

この高級感を味わうというのが、アマダイの干物の醍醐味である気がします。

あまりスーパーで頻繁に見かけるというようなことはありませんが、干物の専門店やお魚市場なんかで見かけた際、気になった方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
干物の世界観が一気に広がりますよ。

また鮮魚で20センチから30センチ程度の小ぶりの個体が安めに売られていることもしばしばあるので、それを干物にしてみるのも良いかもしれません。
干物と松笠焼きを食べ比べるのも面白いと思いますよ。