【干物語】第8回 干物の開き方を紹介!開き方の違いで味は変わるのか。

こんにちは。
秋というよりもう冬のような寒さを感じる季節になりました。
この時期に美味しいのがこの魚。

アカカマスです。

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以前にも紹介しました、このカマスを使って
代表的な干物の開き方3パターンをご紹介します。

そして、開き方により味に違いは出るのか?
そんなことも考察していきたいと思います。

そもそもの話、なぜ開くのか。
これは、干物にするときに開くことで水分を抜きやすくするためというのが主な理由でしょう。

小さい魚や薄い魚は丸々一匹を干す、丸干しにすることもあります。
小さいイワシの煮干しなんかは丸干しですし、ハタハタなんかも丸干しをよく見かけますね。
カレイなんかは薄いので丸干しにされることがあります。

開くときの基本として、
まず魚のまっすぐな方を残して開くのが良いでしょう。
背側と腹側を比べて、より直線に近い方を接続しているように、開く。
曲線のところを残して開いたら歪んだ干物になりそう、というのは容易に想像できると思います。

そんなことを踏まえながら、スーパーやひもの屋さんで見かける代表的な3種類の開き方について、実践をしながら見ていきましょう。

①腹開き

最初の開き方は、腹開きです。

お腹に包丁を入れ、内臓を出してそのまま開けるのがこの開き方になります。

この開き方はアジの開きに多く見られる気がします。

実際に開いてみました。

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まず、開いてみた感想ですが、
カマスは腹開きに向かなそうです。

理由はカマスは下アゴより上アゴのほうがもろいようで、
形が崩れやすいように見えます。

火を入れると形が崩れ、見栄えが悪くなりそうです。

ただ、先に内臓を出すので血や内臓の内容物が身の可食部に付着して、味を損なうようなことはなりにくいです。

さらに腹骨を削ぎ落としたいときなんかは
腹から開いていると便利ですね。

あとこの腹開き、腹切りが縁起が悪いといい、
嫌う人もいるようです。
(ぼくは、どうでもいい気がしますが(^_^;))

②雀開き

こちらは、腹開きに対して背中から開きます。
背開きにはこの雀開きに加え、片袖開きもあります。
(後ほど紹介します。)

ホッケの干物はこの開き方が多い印象があります。

それでは、開いてみます。

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カマスはこの開き方は安定しますね。
あまり形が崩れにくいです。

ただ、背中から内臓を出していない状態で包丁をいれるので下手に捌くと内臓を傷つけ、血や内蔵物が食べる部分に付着して品質を損なう可能性があります。

魚の肝臓(キモ)には、緑色や黄色の胆嚢(ニガダマ)という器官が付いています。

これを潰して中の液体が身に付着すると、
俗称の通り、苦くなってしまうと言われています。

さらに血は臭みのもとです。
あまり食べる部分にはつけたくないですが、腹開きよりも付着するリスクは上がりそうです。

ですが雀開きは真ん中に腹の窪みがきます。
よって、脂が乗っている魚は、焼いても脂が落ちきってしまわず、このあたりに脂がたまるような焼き具合に仕上がります。

③片袖開き

これは背開きのうち、頭を割らない方法です。
エラの後ろあたりから包丁を入れ、雀開きのように背側を開いていきます。

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開いてみました。

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メリットとデメリットは雀開きと同じです。

ですが雀開きとは違い、どちら側を表にしてもなんの魚かわかりやすい盛り付けにできますね。

ぼくは見栄え的にはこの開き方が好きです。
とくに理由がなければ、この開き方を多用しています。

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ここでひとつ。
ご存知の方もいるかもしれませんが、
盛り付けの際には魚の頭を左に向けるのが基本とされているようです。

ぼくはマナーとかどうでといいとは思いますが、
右利きの人は骨をとったりして食べる際、
頭を左に向けてると食べやすい気がします。

こういうのにうるさい人も世の中にはいるので、
覚えておいて損はないと思います。

最後に。

それでは、3つの開き方をまとめてみます。

①腹開き

上顎が下顎より丈夫な魚向き。
背のほうが腹より直線に近い魚向き。

先に内臓を抜くので身を汚すリスクが少ない。
焼くと脂が落ちやすい。

②雀開き

下顎が上顎より丈夫な魚向き。
腹のほうが背より直線に近い魚向き。

焼いても脂が落ちにくい。
内臓に気をつけながら開く必要あり。

③片袖開き

腹のほうが背より直線に近い魚向き。

焼いても脂が落ちにくい。
内臓に気をつけながら開く必要あり。
何の魚か分かりやすい。